ボストンで学ぶ
マサチューセッツ州最大の都市であるボストンは、アメリカで最も歴史の古い街と呼ばれます。アメリカで初めての公立学校や地下鉄が設置された都市であることに加え、ボストン茶会事件をはじめとする様々な出来事があったことでも知られており、常にアメリカ史の中心に位置してきました。多くの史跡や教会などの歴史的な建築物が並ぶ美しい街並み、ボストン博物館や現代美術館での芸術鑑賞のほか、ボストンレッドソックスの観戦やボストン交響楽団のコンサートなど、多くの観光客を惹きつける魅力に溢れています。またチャールズ川のクルーズやホエールウォッチングなど、ボストンでは雄大な自然も堪能することができます。
このように観光地としても有名なボストンですが、最大の特徴は一流の大学が並んだ学園都市であるという点です。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、ボストン大学といった世界的に有名な大学はボストン市内、もしくはボストン郊外に集まっています。もちろん芸術系大学も多数存在しており、ニューイングランド音楽院、ロンジー音楽院、バークリー音楽大学などへは、一流の音楽家を目指す留学生が世界中から集まっています。
ここではボストンで音楽を学びたいという方に向けて、ボストン音楽を学ぶメリット、ボストンでの生活、市内や近郊の音楽教育機関など、ボストンでの音楽留学に関する情報をまとめてみました。
ボストンで音楽を学ぶメリット
1881年に創設されたボストン交響楽団の拠点であるボストンは、クラシック音楽を学ぶのに最適な環境であると言えるでしょう。実際に多くのボストン交響楽団の現役奏者は教育にも深く関わっているため、直接指導を受ける機会を得ることもできます。またボストン交響楽団の公演には学生割引が適用されるケースもあり、非常にリーズナブルな価格で本物の演奏を毎日堪能することができます。
日本やヨーロッパの音楽大学は、主としてクラシック音楽の演奏を教える場と考えられていますが、アメリカではクラシック音楽の演奏のほか、ジャズの即興演奏、ロックミュージック、コンピュータミュージック、音楽療法、音楽エンジニアリングに加えて音楽ビジネスなど、様々な学部で幅の広い音楽教育が行われています。一流音楽大学の並ぶボストンでは、これらの学部が全てカバーされており、なおかつ非常に高いレベルの教育が行われています。
そのほかボストンには世界中から留学生が集まっているということもあり、多くの国の文化や人々に触れることによって、価値観が広がるでしょう。世界中の国々から来た留学生とコネクションを作ることで、その後の音楽人生におけるメリットが生まれることも少なくないでしょう。
ボストンでの生活
アメリカ国内の他の都市と比較しても、ボストンは非常に治安面で優れていると言えるでしょう。ただし世界のどこへ行っても、日本ほど治安の良い地域はほとんど無いので、夜間の外出や貴重品の取り扱いなどには十分気を付けるようにして下さい。
ボストンに限らずですが、アメリカの都市部の居住費は日本と比較して非常に高いと言えます。ボストン市内の大学に近い地域で、一人暮らしができるアパートを借りるのであれば、月額の家賃は最低1,000ドル以上となるでしょう。ただし学生のほとんどは、2〜4人程度で、複数のベッドルームのあるアパートをシェアして、家賃を500〜1,000ドル程度に抑えています。
またアメリカにおける大学の学費は年々増加傾向にあります。ただし返還不要の奨学金制度やキャンパス内でのアルバイトも充実していますので、各大学の学費や制度に関しては個別にカウンセラーにお問い合わせください。
ボストンの音楽大学の就学システム
基本的にはボストンにある、どの音楽大学にも入学試験があり、その合格が就学を始める必須条件となります。楽器演奏による実技試験、聴音や理論の試験、面接が基礎となりますが、希望の大学や学科によって、試験は様々です。またスクリーニング試験として演奏を録音した音源や映像を要求されることもあります。留学生の多い音楽大学では、入学試験がアメリカ国外で行われることもあり、日本国内で受験が可能なケースも存在します。
学士コース、修士コース、博士コース、ディプロマコース
日本の大学と同様、ボストンの音楽大学では四年生の学士コース、二年生の修士コース、専門家や研究職に向けた博士コースに分かれています。ただし大学院生の場合は教壇に立つケースも多いため、教員と同じ扱いとなり、学費が免除され、給与が支払われる場合もあります。また一部の大学にはディプロマコースが存在します。このコースは基本的に専門科目のみの履修で卒業することができますが、学士の資格は得られません。ディプロマコースは就職や大学院への進学を考えず、純粋に音楽の勉強のみをしたいという方に向けたコースとなっています。
ボストンで学べる専攻科目
器楽科
基本的なオーケストラ楽器に加え、ピアノ、声楽、ギター、サキソフォン、古楽器など
ジャズ、ポピュラーミュージックの器楽科
鍵盤楽器、弦楽器、管楽器、打楽器、エレクトリックギター、エレクトリックベース、ドラムセット、ハンドパーカッションなど
作曲・音楽理論科
クラシック音楽の作曲だけでは無く、ジャズやポピュラーミュージック、電子音楽や映画音楽の作曲なども学ぶことができます。
音楽エンジニアリング科
録音から編集、ミキシングからマスタリングまでを学びます。通常の聴音だけではなく周波数帯を聴き分けるクリティカルリスニングの能力が求められます。
その他、指揮科、音楽教育科、音楽療法科、音楽ビジネス科など幅広い音楽教育が行われています。詳細は是非カウンセラーまでお問い合わせください。
ボストン市内、近郊にある音楽教育機関
ボストン大学音楽学校
一流総合大学として知られるボストン大学には、通常の音楽大学と同様の形態の音楽学校が付属しています。非常にレベルの高いクラシック音楽の演奏科、作曲科、音楽教育科などがそろっています。またボストン大学に設置されているという点からも、豊富なダブルメジャーが提供されます。
ニューイングランド音楽院
ボストン交響楽団のメンバーの半数が同校の講師もしくは卒業生という点からも、非常にボストン交響楽とつながりの深い音楽大学です。クラシック音楽のほか、近年ではジャズの演奏科も高い評価を得ています。ハーバード大学やタフツ大学といった総合大学とも提携し、ダブルメジャープログラムも提供しています。
バークリー音楽大学
ジャズやポピュラーミュージックの教育機関として知られるバークリー音楽大学では演奏科だけでなく、映画音楽や電子音楽の作曲、音楽療法、音楽エンジニアリングから音楽ビジネスまで、考えられるほぼ全ての音楽系学科が網羅されています。2016年には名門、ボストン音楽院と合併し、クラシック音楽の演奏科が更に充実したものとなりました。
ロンジー音楽院
ボストン近郊、ケンブリッジ市のロンジー音楽院は室内楽の演奏を中心とした教育で非常に高い評価を得ています。他大学と比べて、生徒数に対する講師の割合が非常に高く、少人数のクラスが大きな魅力となっています。また名門エマーソン大学との提携プログラムにより、エマーソン大学で一般教養科目の単位を得て学位を取得することも可能です。
ボストン留学のよくある質問(FAQ)
まとめ
ボストンの音楽大学で学ぶという長期留学のほか、個人レッスンで音楽を学びながら現地での生活を体験する短期音楽留学も大変有意義です。ボストン交響楽団やボストンポップスのコンサート、またタングルウッド音楽祭などのイベントに合わせて渡航するというスケジュールを組むこともできます。10日から2週間という短い期間にボストンの空気に触れ、集中して音楽に向き合うことで、今後の音楽へと向き合う姿勢が変わるかもしれません。
ボストンでの留学にご興味がある方は是非アンドビジョン留学カウンセラーまでお気軽にお問い合わせください。
(執筆:清水響)