3歳から高校2年生まで、YAMAHA音楽教室にて、クラシックピアノとエレクトーンアンサンブルを学ぶ
岡山県立岡山城東高等学校普通科卒業
香川大学教育学部学校教育教員養成課程音楽領域卒業
香川大学院教育学研究科音楽領域修了
平成29年度香川大学学長賞受賞
第49回岡山県新人演奏会出演
―まず簡単な自己紹介と現在までの略歴を教えてください。
小林様:私は3歳からヤマハでピアノを学び、エレクトーンのアンサンブルも高校生までやっていました。香川大学の教育学部音楽領域を卒業の後、同大学院の教育研究科の音楽領域をこの春に修了しました。―今回バークリー音楽大学サマーコースにご参加されましたが、これまでに国内外の講習会に参加されたことはありますか?
小林様:大学1年時に語学研修でアメリカの大学に10日間行きました。音楽留学は今回が初めてです。―この講習会を選ばれた理由は何ですか?
小林様:ジャズやいわゆる“楽譜のない音楽”に強くなりたいと思ったためです。それまでクラシックが中心だったのですが、ヤマハで小さい頃から作曲や即興をやっていました。また、大学からアコースティックバンドを結成し、ポップス音楽に触れる機会が多くなってきたこともあり、参加を決めました。―講習会はどんな人が参加されていましたか?
小林様:初回のオリエンテーションの話によると、75カ国から1,000名近く参加者がいるとのことでした。バークリー音楽大学への入試と奨学金のオーディションが講習会期間に実施されるためでしょうか。高校生が多く、全体的に年齢層が若いイメージでした。―なるほど。それでは講習会の内容について教えてください。
小林様:初めの3日間は授業オリエンテーションとレベル分けのオーディション(演奏)と選択式の筆記テストがあり、これでクラスが決まります。プライベートレッスンや聴音、理論やアンサンブルは全員必須でしたが、その他は自由に選択できました。―講習会の先生やスタッフなどはいかがでしたか?
小林様:講習会専任の学生さんのスタッフの方が沢山いて、日本人だと分かるとゆっくり英語を話したり文字で単語を書いてくださったりと、とても親切にしてくださいました。レッスンのフランチェスカ先生も受講生に寄り添って指導してくださいました。ジャズの経験はないけど即興や作曲に興味があると伝えると、メロディーとコードのみが記されている曲と、既にもう楽譜ができ上がっている曲の2曲を選んでくださいました。前者ではそのコードの和音のポジションからソロを作るまでの過程をすごく丁寧にやってくださり、後者ではジャズの奏法を中心に教えてくださいました。
―レッスンで印象に残っていることはありますか?
“徹底して真似をする”ということでした。クラシックでは、ほかの人の演奏を「参考」にすることはあるのですが、YouTubeを開いて、その人がどこにアクセントをつけてどういう音の切り方をしているか等を全部楽譜に書き起こして真似して弾きなさいと指導くださり、とても新鮮でした。―講習会では演奏発表の機会はありましたか?
小林様:必須の科目でアンサンブルに所属することになっており、そのコンサートが5週間の最後の週にありました。ポップスもやりたかったので、ポップロックのアンサンブルにピアノ/キーボードで参加しました。ジャンルやレベルも色々で、編成も3人だけのところもあれば7人ほどのグループもありました。―大学で結成されていたアンサンブルを更に深める機会となったのですね。それでは練習環境について教えてください。
小林様:寮の4階のフロアが全て練習室になっていたのですが、ピアノの数も少ないため、沢山練習室のある隣の寮で練習をしていました。場所さえ取れれば昼夜問わず、時間制限もなく練習できました。―では、レッスンやクラス以外の時間はどのように過ごされましたか?
小林様:2週目ぐらいまでの土日は、大学側で受講生が自由に参加できるアクティビティをいくつか企画していて、私は水族館へ行きました。移動は全員普通に電車で移動するのですが、入館料も大学側が用意してくださいました。他にはボストンの名所を巡るツアーなどもあったようです。他にはボストンに来ていたブロードウェイのアラジンや、ボストン美術館にも行きました。それ以外は、課題や練習、勉強などをして過ごしていました。―学生寮はどんな環境でしたか?
小林様:学生証がないとフロアに入れないなど、セキュリティがしっかりしている新しい建物でした。空調も調整できるので快適でしたし、トイレやシャワー、コインランドリーなどは共同なのですがすごくきれいで、特に不自由はなかったですね。
部屋はベッドと机しか置いてないので。シーツだけはもって行きました。枕はちょっと分厚めのバスタオルを現地で調達して代用していました。
―ルームメイトなどはいましたか?
小林様:はい、韓国人の子との二人部屋だったのですが、同じアジア圏というのもあってとても過ごしやすかったです。彼女もピアノの子だったので同じ授業も多く、内容を確認し合ったりと、とても楽しかったです。―授業はどこでありましたか?
小林様:キャンパスが一つにまとまっておらず、町のいたるところに校舎が点在していたので、基本は校舎間を徒歩で移動しました。移動中も夜は出歩かないようにしたので不安はありませんでした。ただ、講習会が始まってから「世界中から来ているお金を持った学生が集まってきている」という感じで思われているのか、道端で小銭を迫る人がすごく増えたらしく、よく行くコンビニの前にたむろされていて怖かったです。―現地の食事はいかがでしたか?
小林様:普段は寮のカフェテリアで食べていました。バイキング形式でサラダの種類も多く、スイーツなどもありメニューが豊富ですごくよかったです。平日は朝昼晩、土日はブランチと夕食が食べられるのでほとんどそこを利用していました。外食はクラムチャウダーと寿司ボール(海鮮丼)を食べたぐらいでしょうか。―何十カ国もの方とコミュニケーションをとる上で、工夫をしたことはありましたか?
小林様:私は英語がそれほど得意ではなかった分、寮で受講生とすれ違ったら挨拶をするなど、自分からコミュニケーションとりにいくことを心掛けました。寮のミーティングでの自己紹介でも、あえて「私はそんなに英語得意ではないけれど、みんなと色んな話がしたい」といった話をすると、困っていたら助けてくれるなどとても優しく接してくれて、自分から動くのはとても大事だなと思いました。―それは素晴らしいですね! 言葉以外で困ったことはありましたか?
小林様:寮のWi-Fiが使えず、繋がりにくいフリーWi-Fiを使ったこと、バークリーからのメールがなぜか受け取れず、結局最後まで過ごした点ぐらいでしょうか。―今回のご留学を通じて、変わったこと、成長したことはありましたか?
小林様:今まではクラシックが主だったため、他のジャンルに触れてみると、音楽の捉え方や価値観、習得の仕方一つ一つの、種類そのものが違っていることを感じ、初めは戸惑いがありました。でも、この路線の音楽を極めてきた人たちの中に入ると、とても新しい感覚があって、「音楽」自体をもっと自由に広く捉えられるようになった気がします。あと、授業のペースが早く、内容もぎっしりで進んでいくので、自分の中で噛み砕いて理解するという作業がとても大変でした。圧倒的に経験がないものを急に詰め込んだため、4週目までは楽しいというより、ただただ必死みたいな感じで(笑)。でも、ある時間を最大限に使って、理論の理屈を解読したり、きちんと課題と向き合うという作業を続けると、最終週にやっと楽しさを感じられるようになりました。
諦めずに地道にこなせていけたことは、今後の自信になると思います。
―これから留学を考えている方へのメッセージをお願いします。
小林様:「留学先で自分はどのジャンルをどんなふうに勉強したいか」を考えること、「それに対する勉強を日本で可能ならあらかじめやっていくこと」でしょうか。そうすると留学してからの実のなり方が変わってくるんじゃないかなと思います。―最後に、今後の活動について教えてください。
小林様:今回の留学で色々なジャンルを学び、自分の引き出しが少しではあるんですけど増えたので、教職に就いて、色んな音楽の良さを授業で生徒に感じてもらえるように、この経験を生かしていけたらなと思っています。―ありがとうございました!