-まず簡単な自己紹介、現在までの経歴を伺ってもよろしいでしょうか。
秋元様:フルートを始めたのが15歳、声楽を始めたのが27歳になります。フルートは、もともとプロになるつもりはなかったんですが、大学時代からずっとプロの先生についてレッスンを受け続けて、舞台活動も並行して行ってきました。それで、フルートの舞台活動を行う中で、勉強に困難なところが生じたので、ソルフェージュをしっかりやろうと思ってソルフェージュの先生についたところ、あなたは歌をやったほうがいいわ、と言われ、歌の道に誘われました。普通はそこでフルート科をやめて声楽科に行く方が多いんですが、私の場合はフルートは捨てられなかったので、どっちもやろうというふうに、すごく困難な道になることはわかっていたんですが、心に決めて、フルートの声楽の2本というかたちで、27歳から35歳の今まで音楽活動をやってきました。
-フルートを始められたきっかけは何ですか。
秋元様:中学3年のときに、友達に誘われて吹奏楽部に入ったのがきっかけで、それからずっとフルートを手放せずやっています。多分、一生手放さずやると思います。声楽もずっとやると思います。
-今まで講習会にご参加されたご経験はございますか。
秋元様:2015年の2月にアンドビジョンさんにお世話になってフィレンツェに留学しました。
-弊社は何をご覧になって知りましたか。
秋元様:インターネットでよくアンドビジョンさんの広告が出ていて、それで知りました。
-フィレンツェに決められたきっかけは何ですか。
秋元様:歌をやるにあたって語学の勉強が非常に重要なんですが、フィレンツェに行くまでの時点で、とりあえずドイツ語とフランス語は一通り読めたんですが、一番大事なのにイタリア語だけ勉強がおろそかになっていたので、留学すればさすがに勉強するだろうという思いからイタリアに行こうと思いました。じゃあどこか、と思ったところ、フィレンツェがイタリア語の一番標準語が始まったところなので、フィレンツェで勉強すればきれいなイタリア語がしゃべれるだろうと思ったのがきっかけです。
-ドイツ語とフランス語はもう読めたんですね。
秋元様:読めました。大学のときに英語、ドイツ語、フランス語三つやろうと心に決めて、それで三つやっていました。ドイツ語は教職免許の過程をとっていたので、ドイツ語はそこそこできました。フランス語は、仏検4級までとったので、初級ぐらいで、読めるという感じです。
-フィレンツェのほうは。講習会はどれぐらいの人数がいらっしゃいましたか。
秋元様:フィレンツェでは、イスティトゥート・エウロペオという学校に入らせていただいて、そこで6週間学んだんですけども、日本人の生徒さんはほかに3人いました。それから外国人の生徒さんもいたので、全部で5、6人でした。それで、語学のクラスも別にありましたので、そこでも5、6人外国人の生徒がいて、一緒に学びました。
-今回の冬季の講習会を決められたポイントは何ですか。
秋元様:フィレンツェで下宿していたお家が、ほかの留学生も預かっている大きいお家だったんですけれども、そこでみんなで集まって夕食を食べるんですけども、そこで飛び交う会話が、英語、ドイツ語、イタリア語、ときにフランス語という感じで非常にバラエティ豊かだったんですが、そこで随分鍛えられました。そこで学ぶうちに、イタリア語のほうがだんだんドイツ語より得意になってしまって、英語聞き取れる、イタリア語聞き取れる、でもドイツ語が聞き取れない、怪しい、これはまずいと思い、ドイツ語の歌曲もしっかりやらないとな、と反省して、今回ウィーンに行けばドイツ語を真面目にやるだろうと思ってやりました。今回結構聞き取れたので、行ってよかったなと思います。
-今回の冬季の講習会にはどれぐらいの人数の方が参加されていましたか。
秋元様:今回は日本人の女性ばかりで、私を含めて15名参加しました。
-講習会ではどのようなスケジュールを組まれていましたか。
秋元様:私の1日のスケジュールは、まず7時に起床して、ルームメイトと一緒にご飯を食べに行きます。それが7時半から8時半までのぐらいです。それから、ホテルを発って9時には練習室に入ります。それで、9時から11時ぐらいまで練習して、お昼を食べて、12時ぐらいからレッスン室に入って、ほかの人の聴講もしながら自分もレッスンを受けて、それが2時ぐらいまで続きます。そのあと、ちょっと休憩して、また練習をして、フルートのレッスンが入る日は夕方フルートのレッスンという感じで、ずっとレッスン、練習、みたいな感じで1日が過ぎていきました。それで、5時、6時、7時ぐらいになると解放されるので、自分でレストランに行ったり、あるいはほかのお友達と一緒にレストラン行ったり、あるいはみんなでスーパーに行っておかずを買って帰ってきて、各自部屋で夕食を食べたり、そしてシャワーを浴びて寝るという感じで1日が過ぎていきました。
-結構ハードですね。
秋元様:私は声楽とフルートと両方やっていたのでこんな感じなんですけど、みんなはもっと少なくて、1コマレッスンをやって、あと半日遊びに行ったり、というお友達もいました。買い物行ったり、観光行ったり、という感じで。私はきついほうでした。
-声楽の先生はいかがでしたか。
秋元様:声楽講師がアデーレ・ハース教授で、伴奏通訳が斉藤雅昭氏ということだったんですけど、アデーレ・ハース先生は78歳だったので、ご自身ではあまり歌われなかったんですけど、たくさんの生徒を指導されてきた経験、それからご自身の舞台経験、フォルクスオーパーの歌手だったんです。そういった経験から非常に深いアドバイスをしていただいて、そこでいただいたアドバイスというのは日本の声楽講師では絶対教えられないようなものがすごく多かったです。例えば『こうもり』のアデーレのアリア、これはアデーレ・ハース先生の十八番中の十八番みたいな曲だったんですけど、わからない単語があったと。これは辞書にも載っていなくて、これ何ですか?と先生に聞いたら、このトゥールニューレという単語は、ドレスのお尻にくっついているこういう部分だね、と教えてくれて、そうなんですか、という感じで、一つ明らかになった真実とか、あと、アデーレのアリアというのはフランス語がたくさん出てくるんですけど、なぜそういうのが出てくるかというと、こういうふうに見慣れない単語があるんです。トワレッテとか、トゥールニューレもそうですし、いろんなフランス語が出てくるんですけども、これがなぜなのかというのを先生は説明してくださって。アデーレというのはすごく頭のいい小間使いなので、給仕をしながら上流階級の人々の会話をちゃんと聞いていて、どんな言葉を言えば上流階級の人っぽくなるかというのもよくわかっているんだと。それゆえに、この中にフランス語の単語がたくさんちりばめられているんだよ、そのことを踏まえて歌ってね、という説明で、初めてわかりました、と。
-おしゃれなんですね。
秋元様:そうですね。日本人の人が理解してないことをたくさん踏まえて歌ってらっしゃるので、そこがやっぱり違いますね。日本で学ぶのとは全然違う。より深く、ですね。あとはこの「四つの最後の歌」という、ドイツ歌曲の一番難しい部類に入る曲があるんですけど、今回これを持っていったんですが、歌詞がこのようにある中で、歌詞の意味のつながりから、ブレスをとっていいところと、とっちゃいけないところというのがあって、最初、私はブレスをとっていちゃいけないところでブレスをとって歌っていたので、そうではないのよ、というふうに指導されました。ここまで一息でいきなさい、という感じで、ブレスの位置をかなり直されました。あと子音ですね。子音の発音をもっとしっかりやりなさいと。最初のNを「ヌ」とすごくここで響かせなさい、と言われて、もう耳のよさが日本の講師とアデーレ先生とは全然違うので子音をしっかり発音していて、この「タ」も、普通の「トゥ」ではなくて、「ツー」ぐらいにすごい強く発音しなさい、と言われて、そこまでやらなきゃいけないんだ、と思ったりしてすごい新鮮でした。
-楽譜に書かれたメモが、いいですね。
秋元様:振り付けの指導もいただいたので、ハントっていうところは、手を見せて、フースヒェンというところは足を見せて、という感じで演技指導もいただきました。
-フルートの先生はいかがでしたか。
秋元様:フルートの先生はレナーテ・リノルトナー先生ということで、こちらはオーケストラスタディという、オーケストラの譜面を一緒に研究するというもので伴奏がないので、通訳をつけずにやらせていただきましたが、これも大変で。これがこうもり、これが青きドナウ。フルートとピッコロと両方持っていって、それで難しいところをピックアップして、一緒にやったという感じでした。これが第九のピッコロのソロで一番有名なソロです。こういうのを持っていって、先生が普段仕事で吹いていらっしゃるものなので、厳しかったですね。本当に厳しかった。まずは入れないんですよね。先生が合図してくれるんですけど、それがすごい速いので、いつ入っていいのか、気がつくと始まっているんです。だから入れないんです。すごいやばかったです。私、日本の中央区交響楽団っていうアマチュアオーケストラで普段やっていて、あと株式会社電通オーケストラっていうのもやっているんですけど、全然違いましたね。全然違う譜面のように感じました。本当に吹けなくて、めちゃめちゃシビアでした。あと、ピッコロのチューニングが違いまして、普段A=442というチューニングでやっているんですけど、向こうだとA=443だったので、普段よりもっと高めにとらなきゃいけなくて、先生に、ハッ、ってとるのよ、と言われて、ハッ、ととったらとれて、これぐらい高くとらないととれないんだ、と思って。そういうところも日本とは違うなと思って、柔軟な対応力が必要だなと思いました。全然違いました。とにかく全然違う。
-レッスンは基本的にはドイツ語でしたか。
秋元様:私がドイツ語がちょっとできて、英語は割とできるという感じだったので、ちゃんぽんでした。
-レッスンの最後にコンサートがあったかと思うんですが、それはどうでしたか。
秋元様:私は3曲やらせていただいたんですが、3曲は厳しかったです。本当に大変だった。『四つの最後の歌』より「眠りにつくとき」っていう難しいドイツ歌曲と、アデーレのアリアと、さらにフルートでプロコフィエフのソナタという非常に難しいものを持っていってしまったので、死にそうでしたが、でも割と皆さんには衝撃だったようで、歌とフルートと両方というのはなかなか前代未聞だったようで喜んでいただけたみたいです。ピアノのトイフルマイヤー先生もすごい喜んでくださって、私の声を褒めてくださって、美しいって褒めてくださってうれしかったです。
-ホールとかはいかがでしたか。
秋元様:ホールはお城みたいなところでした。日本のホールよりもかなり響くところだったので、ピアノが大きく響きすぎてしまうかな。でも、私のピアニストの斉藤雅昭さん、すごくきれいに、弱音なんだけどとてもニュアンス豊かにやってくれて、歌いやすかったです。やはり日本のホールとは響き方が違うので、訓練というか慣れが必要かもしれません。でもとてもきれいな建物で、よかったです。
-コンサートの打ち上げはどんな感じでしたか。
秋元様:打ち上げは、とてもお料理はおいしかったです。
-どんなものが出ましたか。
秋元様:肉ですね。羊肉、牛肉、豚肉、ラム肉、主にお肉ですね。あと、前菜のサラダとかですかね。
-お酒も飲まれて。
秋元様:そうですね。お酒も飲みました。
-ワインとかおいしそうですね。
秋元様:向こうはじゃがいもがおいしいですね。付け合わせで必ずじゃがいもがついてくるんですけど、これがおいしい。こちらの写真はサケ、マッシュルームのクリーム煮、じゃがいもが付いて19ユーロぐらいかな。
-それはレストランですか。
秋元様:ノルトゼーというチェーン店で、お魚のファーストフードのお店なんですけど、なかなかおいしいお店です。これがウエストバーンホフ、ウィーン西駅の駅ビルなんですけど、駅ビルの中に食べるスペースがあって、店頭で買って食べるスペース、イートインスペースに持ち込んで食べるという感じで夕食を過ごしておりました。アデーレ先生はすごく優しくて、受講生の1人が風邪を引いたとき、アデーレ先生は薬局の先生に手紙を書いてくれて、この人風邪ひいているから、声楽科にふさわしい薬を出してください。何かあったら私の電話番号まで。アデーレ・ハース、とかって手紙を書いてくれて、すごい優しかったです。非常に生徒思いの優しい先生でした。
-秋元さんは体調崩されたりしませんでしたか。
秋元様:私はもうヨーロッパに慣れているので、大体こんなもんだろう、という感じがあって、朝食も死ぬほど食べていましたし、全然元気でした。
-レッスンは基本は練習室で。
秋元様:そうですね。Wendl & Lung の、いっぱい練習室が入っているショールーム兼練習室センターみたいなのがあって、そこの一角を使わせていただいてレッスンをして、あとは練習も同じセンターの中で行うという感じでした。部屋がいっぱいあるんです。
-どれぐらいあるんですか。
秋元様:15か20か、それぐらいですかね。
-お休みのときはどこかに行かれましたか。
秋元様:そうですね。1月1日がまるまるオフでしたので。あと、私は最終日、1月6日がまるまるオフでしたので、その2日間遊んで、あとはずっと勉強していました。行ったところとしては、31日大晦日の夜にフォルクスオーパーのこうもりを見に行きまして、そこでリノルトナー先生が1番フルートを吹いているのを見て、やっぱり上手だな、と思いながら、アデーレのアリアとかも聞きながら、やっぱり上手だなと思いながら、勉強しながら、楽しんで観劇しました。楽しかったです。あと1月1日の午前中は、国立オペラ座の脇にすごい大きいテレビがあるんですね。そこで11時からウィーンのニューイヤーコンサートを中継するんですけど、すごい寒かったんですが、椅子がダーッと並べられて、そこに座って、寒い寒いと思いながらコンサートを見て。でも周りの人たちとちょっと話をしたりして。
-そこにはどれぐらいの椅子が用意されているんですか。
秋元様:50、60席ぐらいかな。あとはみんな立ち見ですね。私は運よく、ここが空いているからどうぞ、って譲ってくれたスイス人のおじさんがいて、その人のしゃべったりしながら見ていました。
-そこのモニターを囲う人数は、大体200人とかいらっしゃるんですか。
秋元様:始まった直後は100人もいなかったんですけど、続々とみんなが集まり始め、終わる頃にはすごい人だかりになっていました。あとは、ケーキがおいしかったです。ケーキをこの写真のような感じで食べに行って。これがホテルザッハーのザッハトルテなんですけど、こんな感じで。
-チョコレートケーキ、おいしそう。
秋元様:これは本物のチョコレートじゃなくて、チョコレートに砂糖を溶かし込んであって、クッキーのアイシングみたいな感じです。中にアンズのジャムが挟まっていて。ケーキはおいしかったです。あとデーメルというところも行きました。デーメルもお城みたいな感じの建物で、これがデーメルのケーキです。モーツァルトトルテ。
-かっこいい。モーツァルトが乗っかっている。
秋元様:そうなんですよ。食べるのもったいなかったな。
-このコーヒーは、ウィンナーコーヒー?
秋元様:デーメルスペシャルコーヒーみたいなやつで、コーヒーの中にちょっとオレンジリキュールが入っていて、ちょっと大人の味なコーヒーなんです。ケーキがすごいおいしいです。勧めたい。
-町の治安はどうですか。
秋元様:われわれの使っていた地下鉄6号線というのがあるんですけど、この地下鉄6号線というのが中心部に比べて郊外なので、ちょっと変な人がいたりするんです。電車に乗ると、ずっとイタリア語で独り言をしゃべっているおじさんがいたりとか、すごいポテトチップスを食べまくっている臭いおじさんとか、変な人が毎日のようにいるんです。あと、お金を集めて回っているおばあさんとか、この界隈には変な人がいるんです。だからちょっと気をつけないといけないのと、あと思いでキャンペーンレポートにも書いたんですけど、ピアノで講習会に参加していた子がいて、彼女は中央墓地というのを見に行くために、これの終点まで行こうとしたら、そしたら地下鉄の中で寝ちゃって、気がついたら車庫だった、と言ってて。
-誰も起こしてくれなかったと。
秋元様:そうなんですよ。容赦なく閉まるんです。降りてください、というアナウンスがあって、それで速攻閉まって、速攻車庫に行っちゃうんです。なので、地下鉄の中で寝ないように、という注意喚起は必要だなと思いました。いろいろ常識が違って。
-そこから歩いて戻ってきたんですか。
秋元様:彼女は、車庫からもう一度出てくるときに一緒に連れてきてもらって、という感じでことなきを得たようです。あと、終了コンサートのこの辺は郊外という感じで、ちょっとしたダウンタウンみたいな感じです。あのホールはきれいだったんですが非常にわかりにくい場所で、ピアニストさんも現地20年とか30年のベテランのピアニストさんたちも迷ってたどり着けなかったようなところで。会場の集客には不利だったかも。でも先生方が現地のお客さんとかを連れてきてくれたりしたので、一定の集客はありました。
-どれぐらいいらっしゃいましたか。
秋元様:それでも20人ぐらいでしたね。
-町の様子としてはどうですか。いわゆるヨーロッパではあると思うんですが、ゴミが落ちているとか、きれいに清掃されているとか。トラムがどうとか。
秋元様:まずゴミとかは落ちてないです。で、トラムが走っているので、私は2回ほど轢かれかけました。チンチンとやられて、やばいと思って慌ててどいたんですけど。歩道すれすれにトラムが走っていくところがウィーン西駅の界隈はありますので、私のようにならないように、あとの皆さんに注意いただきたいです。
-信号とかはないんですか。
秋元様:信号はあるんですけど、ヨーロッパですので、これも適当な信号なので、本当に気をつけないと死ぬ、みたいな感じです。
-恐らく冬で寒かったからあまりいないかと思うんですけど、自転車はどうでしたか。
秋元様:自転車は少なかったです。ほとんどみんな歩いています。
-歩きか車かトラムか、みたいな感じですかね。
秋元様:そうですね。地下鉄が発達していますし、あまり自転車に乗る必要がないし、大体冬でめちゃくちゃに寒いので、ウィーンの貸自転車というのがあるんですけど、黄色いやつで、ここから乗ってここで乗り捨てられる、みたいなのがいっぱいあるんですけど、冬だからあまりそれを使用している人は少なかったです。とにかく寒いんですよ。ダウン2枚重ねて着ていました。室内はとっても暖かいんですが、外が寒いです。
-雪は降っていましたか。
秋元様:雪は幸い降ってなくて、お天気はとてもよかったです。雨もちょっとしか降らなかった。
-宿泊先はどこに泊まられたんですか。
秋元様:宿泊先はアンドビジョンの方で皆さんで一緒に手配していただきました。ホテルドナウワルツァーというホテルに泊まりました。
-どうでしたか。
秋元様:ドナウワルツァーはよかったです。高級ホテルですね。スパとかもありました。スパは22ユーロ払わないと使えないんですけど、でもスパがついているぐらいなのでとてもいいホテルで、朝食も豪華で、キャビアとサーモンが出たりとか、あとシャンパン飲み放題だったりとか、すごい豪華でした。お肉も食べ放題だし、パンの種類もいっぱいあって、果物も食べられるし、ありとあらゆるものがありました。ソーセージ、卵、ハム、パン、果物、それからシリアル、ありとあらゆるものがあって、おいしかったです。朝食は何の文句もない、申し分もないです。
-お風呂やトイレやテレビ、そのほか空調とかはどうですか。
秋元様:空調は、寒いと言っている人はいたんですけど、階によるようです。私の階は全然問題ありませんでした。ヒーターがあるんですけど、ヒーターの使い方がわかってさえいれば。ヒーターってぐりぐりとダイヤルを回して使うんですけど、それがわかってないと多分寒かったと思います。
-セントラルヒーティングですね。
秋元様:そうですね。あと、壁にくっついている白いオイルヒーターがあるんです。オイルヒーターがあるとやっぱり暖かいですね。浴室についていました。
-乾燥はしてなかったですか。
秋元様:やっぱり乾燥しているので、のど飴とか舐めていましたし、水分は常にとっていました。あと、お風呂はバスタブはなくてシャワーのみでした。で、バスとトイレが一緒になった浴室と、あとベッド、机、テレビがあって、という感じです。
-お洗濯はご自身でやられましたか。
秋元様:洗濯はコインランドリーで教えていただいて。アルザーシュトラーセという駅から2、3分歩いてホテルがあるんですけど、ホテルの前の通りを300メートルぐらい歩いていくとコインランドリーがあって、私は1回そこで洗濯しました。同室のルームメイトの子は、毎日毎日部屋で干していましたが、大変そうでした。ここのコインランドリーを使用していただくといいかなと思いますね。
-使い方は難しくなくなかったですか。
秋元様:いや、難しかったので、そこら辺にいるおじさんを捕まえて教えてもらいました。使い方が難しいんです。料金を入れる箱というのがあって、その料金を投入して、コインランドリーの洗濯機に1番とか2番とか書いてあるんです。で、1番の洗濯機にまず洗濯物を入れて、その料金を入れる箱のところに行って、お金を入れて、1、ってピッと押すと洗濯が始まるので、ザザーっと洗剤が出てくるので、急いでそれを洗濯機にビーっと投入して、洗濯が始まって、それを40分ぐらいジーっと待っているんです。40分ぐらいすると終わるので、それを今度は乾燥機のほうに持っていきます。乾燥機にも何番とかって書いてあるので、27番の乾燥機に洗濯物を入れて、閉めて、またさっきの料金を入れる箱のところに行って、お金を入れて、27と押すとグルグル始まるみたいな、そんな感じでした。
-利用者は結構いたんですか。
秋元様:私が行ったのは夜7時ぐらいで、でもそれでも家族連れの人とか、2、3組利用者はいました。でも、この辺も中心部から少し離れた町なので、みんなで固まって洗濯行くといいと思いますね。私はヨーロッパ慣れているからいいけど、一人だと危ないと思いますね。
-ルームメイトの宿題を手伝われたという話が出ましたが、どんな感じでしたか。
秋元様:ルームメイトの子が16歳の子で高校生だったんですよね。この子もフルートの子で、フルートってこんなふうに勉強するといいよね、みたいな話をしたり、あと彼女は、冬休みの宿題を持ってきていたので、毎晩真面目に勉強していてえらいなと思って、手伝ったりして、電子辞書を貸してあげたり、あと古文の問題でこの訳がわからないということで、どれどれと一緒に勉強したりとかしました。
-宿泊先とレッスン会場は基本的には電車で移動されていたんですか。
秋元様:そうですね。アルザー駅から四つ乗って、ウィーン西駅に行って、ウィーン西駅から歩いて2、3分で、それは何の苦労もなかったです。
-現地で困ったことは特になかったですか。
秋元様:現地で困ったことは、私は慣れているので特にはなかったんですけど、みんな最後のほう体調を崩していました。喉をやられる子が複数、あとは突然生理が始まっちゃった、とか体調を崩す人が複数いました。やっぱりどんどん消耗していくんですよね。現地でレッスンを受けるということは、いったんこっちの技術を全部壊して新たに構築するという作業をするので、とても体に負担がかかるので。私はイタリアでそれをやって慣れていたので覚悟はできていたんですが、みんな初めてだったので、終了コンサートはみんな満身創痍な感じでした。なので、さっきのアデーレ・ハース先生の手紙を書いてもらった子も喉をちょっとやられてしまって、真剣にやる人ほど体調を崩しやすいので要注意ですね。そこが重要かな。とにかく食べないといけないんですけど、みんな何食べていいかわからないからスーパーで適当に買ってきて食べるんだけど、あまりおいしくないな、みたいな感じで。朝食もちょっと食べて終わりという感じだったので、食べないと体調崩していくので、とにかく皆さん食べてください、ということを言いたいです。
-夕飯は1食いくらぐらいでしたか。先ほど1食19ユーロとおっしゃっていましたけど、大体それぐらいですか。
秋元様:何を食べるかによるんです。例えば、この写真で私が食べているこれは、お昼でラップサンドなんですけど、割と量があるんですが、これはノルトゼーで3ユーロ半ぐらいです。これはバピアーノという半セルフのイタリアンレストランなんですが、これが6.90ユーロで安いです。これぐらい量があるんです。マルゲリータピザなんですけど、すごい安いです。このサラダが3ユーロ90とかそのぐらいで。これがピアノ科の子で、彼女はリゾットを食べていて、これが8ユーロとか9ユーロとかそんなものかな。なので、何をどのくらい食べるかによります。このバピアーノぐらいだと、12、13ユーロ持っていけば全然足ります。
-飲み物は何を飲んでらっしゃったんですか。
秋元様:これは紅茶ですね。甘い紅茶を、大きな牛乳瓶みたいなものに入った甘い紅茶があって、これは3ユーロしないぐらいだったかな。
-普段はお水とかお茶とかですか。
秋元様:そうですね。ミネラルウォーターを買って飲むことも多かったです。
-お水はコンビニとかで。
秋元様:お水はコンビニで買いますね。スーパーで買うと0.3とか0.5ユーロなので安いですね。何を食べるかによりますね。例えば、これはウィーンの安い定食屋さん、カフェに入ったんですが、これはヴィーナーシュニッツェルという、薄いチキンとか豚とか牛とか、店によって違いますが、カツレツのポテトつき。で、さらにスープがつき、これは麺が入ったスープなんですが、あとデザートのアップルパイが、これがついて11ユーロとかそのぐらいでした。なので店によるんで全然違うんです。店選びによりコストが異なりますので、安くていい店を選んでくださいと言いたいです。あとはこれスパーっていうスーパーなんですけど、こういうところでサラダとかパンとか惣菜を買って食べると5、6ユーロで収まりますが、みんなと一緒に買い物に行ったんですけど、書いてある言葉がわからないと、それが何なのかわからないんです。なので、友達にこれは何、これは何といちいち説明をして、そうなんだ、じゃあこれ買おう、とかみんなで買い物をしました。言葉がわからないと意味不明というのが結構多いです。
-この写真は駅ですか。
秋元様:国立オペラ座近くの、カールスプラッツの歴史的な美術建築の駅なんです。とてもきれいですよね。これは31日のおさらいコンサートのあとにみんなで撮ったものです。とても楽しかった。これブラームスの像なんです。おさらいコンサートのあとにみんなで散歩して、楽しかった。これがおさらいコンサートの様子です。こんな感じです。これとか、10ユーロ10と書いてありますが、これは川魚を焼いたものにじゃがいもの茹でたものが付け合わせできて、10ユーロ10セントとかなので、こういう安いところを選ぶといいですね。店により異なります。これとかはもっと安い、10ユーロ9セント。これも魚にライスがついてくるというもので10ユーロ9セント。結構みんなスーパーで済ませてましたけれどもね。
-外国の人と、ニューイヤーコンサートとかでコミュニケーションがあったとか、町で洗濯のところで人を捕まえて聞いているとおっしゃっていましたが、うまく付き合うコツとかありますか。
秋元様:意思表明をすることです。みんないい意味でお節介で親切なので、自分がこうしたいということを告げると全力で手伝ってくれる人が非常に多いんです。ただ、自分がこうしたいということを表明しないと始まらないので、何でもいいので、自分がどうしたいかを全力で伝える技術が必要だと思います。それがコツだと思います。うまく言えなくてもいいと思います。カッコ悪くても伝われば何でもいいと思います。頑張って伝えてみてください。
-今回の冬季の講習会に参加されてよかったなと思える瞬間はありましたか。
秋元様:それはもう、毎日よかったです。みんなと友達になれたし、みんな励まし合い、助け合いながら友情をはぐくみつつ日々を送ったのが一番楽しかったですね。
-留学されてご自身が変わったな、成長したなと思うことはございますか。
秋元様:まず声楽家として体形が変わってくるんですけど、今回のレッスンを受けてまた体形が変わりました。鼻の骨の隆起とかも昔はこんなカーブじゃなかったんです。だんだん隆起して骨の形が変わってくるんです。あと肋骨とか。このブラウスも買ったときはこんなパンパンじゃなかったのに、肋骨が広がることによってもうパンパンなんです。というふうに体形が変わっていくんですけど、ウィーンに行ってまたちょっと変わりました。また服を買わないといけない。あと、フルートに対してもっと厳しい姿勢で臨むというふうに見方が変わりました。この譜面をあんな難しいシビアなタイミングとテンポで吹くことができるようになっていくことを体験したことにより、やっぱり気合が入りますね。上には上がある、もっと頑張らないと、と思えます。
-いろいろ今まで日本と違う部分をおっしゃっていただいたんですが、大きく違うなという部分、ウィーンと日本での環境で何が大きく違いますか。
秋元様:言葉ですよね。もし言葉がわからないと譜面すら買えないし、ご飯を買うにも何買っていいかわからないし。身の回りにある言葉を読めるか読めないかというので見えるものが全然違ってくるというのが最大のポイントだと思います。私もフィレンツェに初めに行ったときに撮った写真をあとから見返すと、今イタリア語がバンバン読めるので、これってこういう意味だったんだ、とか、あれ?ここにこういうものあったんだ、気がつかなかったな、というのが非常にたくさんあるので、言葉ができるかできないかで見えるものが随分違ってくるというのが最大のポイントだと思います。なので、行く前に少しでも語学を勉強していただきたい、というのはあります。
-次の質問は、今既におっしゃっていただいた、留学前にしっかりやっておいたほうがいいこと、というのはやっぱり語学ですかね。
秋元様:そうですね。あと譜面の準備ですね。あるピアニストの子はレッスンが予想外にテンポよく進んでしまい、やる曲がなくなってしまったということで、私ごっそり声楽の譜面を持参していたのでそれをお貸しして、それらを使用してレッスンを進めたということがありました。なので譜面の準備が非常に重要だと思います。譜面を忘れて、慌てて買いに走っているバイオリンの生徒さんもいて、そうなっちゃうと最悪で、めちゃめちゃお金掛かります。譜面をきちんと準備してトランクに詰める、ということですね。で、譜面は2、3曲というので、2、3曲しか本当に持っていかない人も多くいたんですけど、ありったけ持っていったほうがいいと思います。ありったけ持っていって、先生と相談して、これやるといいと思うわよ、とか、これはあなたに合ってないからやめておいたほうがいいと思うわよ、ということがあるので、やれそうなものは全部持っていったほうがいいと思いますね。
-ほかは何か、留学前に押さえておいたほうがいいポイントはありますか。
秋元様:自分が何を学びたいかというのを明らかにしたほうがいいと思います。なぜ、ウィーンなのか。ウィーンだからこれを学ぶというのを、あらかじめ自分の中でポイントを絞っておくと、短い期間の中でも得るものは多いと思います。例えば私の場合は、絶対ウィンナーワルツやるぞ、と思っていたので、こういうものを持っていきました。あとは、アデーレ先生の十八番であるアデーレのアリアは絶対学ぶぞと決めていたので、これを持っていったということで、なぜウィーンなのか、ウィーンの人は何が得意なのか、というところからやりたいことを事前にしっかりポイント絞っておく、というのがいいと思います。
-最後の質問なんですが、今後の活動、進路などこういった方向に進んでいきたいというのがありましたらお話いただけますか。
秋元様:舞台活動を続けていくこと、それからそれをステップアップさせていくということ。当たり前のことなんですけど、音楽家として一番難しいのは、音楽家としてデビューすることよりも走り続けることがとても難しいと思うので、舞台活動をしっかり続けながら、その中で内容を高めていくという活動をしたいと思います。具体的には、声楽家としては、オーケストラとの共演の場をつかみたいと思います。私の所属しているオーケストラがオペラ特集をやるみたいなので、そこでどうにかソロをもらえないかなと動いているんですけど、もし声楽家としてオケと共演できたら、これはすごいステップアップですよね。なのでそれが一つ目標で、フルーティストとしては、現代音楽に今挑戦しているんですけど、来月あるとフルートの現代曲をやるんですが、特殊管、ピッコロ、アルトフルート、バスフルートとか、あと現代音楽という新たな境地を開拓していきたいなと思っています。あと並行してオケの活動も頑張る、という感じですかね。
-素晴らしいですね。いろいろと貴重なお話を伺えて、ありがとうございます。
秋元様:いえいえ、とんでもございません。